本当に「生涯平均年収600万円の高給取り」は年金だけで生活できるのか?(2)
- 2017/04/23
- 12:30
前回、末尾で「生涯平均年収600万円の高給取り」といえど、「妻が国民年金受給している」という条件が隠れていそうだ、ということを述べました。
今度は違うサイト(夫婦2人で年金はいくらもらえるの?気になる年金受給額 | Sodan[ソダン])の記事から、夫婦の年金受給額を見てみましょう。
下記の表は引用サイトの4例に、我が家の場合(右列)を加えて、比較しています。

(例1から例4は、夫婦2人で年金はいくらもらえるの?気になる年金受給額 | Sodan[ソダン]
より引用)
上の参考表を見ていただくとわかるように、例1から例4はサラリーマンの夫婦の都合の良いデータを例示しています。夫は大卒の年収480万円から600万円。妻も22歳から働きはじめ大卒だが年収は日本平均の360万円から300万円を想定。また、専業主婦では一部厚生年金、一部国民年金第3号受給者として考慮しているようです。
(例1、2)のように共働きなら月額27万円をクリヤーできるが、(例4)のように妻が専業主婦だと夫生涯平均年収600万円でも月額27万円(年金だけで暮らせる日本平均値)にわずかに足りない。あれ?「生涯平均年収600万円」なら年金で暮らせるはずじゃなかった?
これは、実は夫の加入期間が38年、つまり40年を満足していないことに起因しているのです。前回書いたように大卒では生涯平均年収631万円ないと成り立ちません。
では、最後に、我が家のデータ(右列)を。私は厚生年金に定年まで34年間、再雇用1年間、計35年加入しました。また、厚生年金基金には29年間加入しました。私の年金額は月21.6万円(税・社会保険差引後の可処分所得は18.6万円)になります。
私は「生涯平均年収600万円」は超えていますが、月約27万円に達しません。(例4)の結果からもあきらかなように、高齢者夫婦の場合は妻の年金も考慮にいれないと、成り立ちません。
そこで、我が家では妻はすでに亡くなっていますが、夫婦無職世帯のデータとの比較のため生きていると仮定して妻の年金も合算してみます。妻は独身時代に厚生年金に加入し働き、結婚前に退職、少しのブランクを経て法制度が整い国民年金第3号被保険者となりました。そして、私が定年退職を迎える数年前に亡くなりました。
妻の受給額は、ねんきん定期便の内容から生きていれば国民年金(74.7万円)と厚生年金(報酬比例部分、7.3万円)の合計82.1万円(月6.8万円)が支給されることがわかります。したがって、夫婦の合計受給額は月28.3万円となり、(日本標準では)黒字になることがわかりました。
以上のお話しは、あくまでも、総務省家計調査の「日本標準」モデルによる家計の収支バランスでした。
補足ー「夫婦の合計受給額」を算出する場合
ちなみに、ねんきん定期便の案内は個人の受給額だけ掲載されていますが、「夫婦の合計受給額」を算出する場合には「配偶者加給年金」を含める必要があります。(上記の月28.3万円には含めてませんが)
妻65歳以上では(配偶者加給年金の)振替加算(我が妻の場合は5.1万円)が妻の年金に支給されますので、妻の受給額は87.2万円(月7.2万円)、夫婦の合計受給額は月28.8万円となり、月約5千円増加します。
ちなみに、妻が65歳になるまでの繋ぎの期間は、生年により時期や金額は異なりますが我が家の場合、夫には夫61歳から配偶者加給年金39.7万円(月3.3万円)が支給され、妻には妻60歳から厚生年金7.3万円(月6千円)が支給されます。

[おまけ] 年金といえば、フランス。フランスといえば、三銃士(アレキサンドル・デュマ著)。主人公のダルタニャンは、いつも貧乏だったのですが、続編(第3部)では国王と不仲になった時にイギリスで王国復興を手助けし褒美にお金を得て、自分で年金を作るべくパリ市内に居酒屋を買いました。
これが3万リーブル(17世紀のこと、1960年代の日本円に換算して3000万円、現在では2億1000万円)、家賃収入は年1500リーブル(同、現1050万円)。年利5%。これだけの年金があると良いですね。その後ダルタニャンは、国王と仲直りし多額の年俸(文中では年金と言っていますが)を得て再び宮使いに復帰、休む暇なく「生涯現役」で過ごしたのですが。
一方、ダルタニャンの元従者プランシェは、商売人となり成功して、パリ郊外のフォンテーヌブローの森に別荘まで持ち半月に一度訪れるといった暮らしを楽しむなど、とてもうらやましく思ったものです。欧州ではたとえ中流人でも別荘を持つ暮らしや比較的長いバカンスで海外で楽しむ話はよく耳にします。
そんな話をしていざ現実に戻ると、待っているのは老後の年金生活に必要な金勘定、早く足を洗いたいものです。
(お金の換算の出展:「アニャン氏とエトセトラ」by COASA ダル物データ 通貨の換算より)
次回は、年金受給額を知る話から。
にほんブログ村ランキングに参加しています



にほんブログ村
人気ブログランキングにも参加しています

セミリタイアランキング

シニアライフランキング

節約・貯蓄ランキング
スポンサーサイト